「黄金の魚」
おおきなさかなはおおきなくちで
ちゅうくらいのさかなをたべ
ちゅうくらいのさかなは
ちいさなさかなをたべ
ちいさなさかなは
もっとちいさな
さかなをたべ
いのちはいのちをいけにえとして
ひかりかがやく
しあわせはふしあわせをやしないとして
はなひらく
どんなよろこびのふかいうみにも
ひとつぶのなみだが
とけていないということはない
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谷川俊太郎さんの詩のなかで、一番好きかもしれない詩。
2日ほど前から頭に浮かんでくる。
どんなよろこびのふかいうみにも
ひとつぶのなみだが
とけていないということはない
のところで毎回グッときます。
悲惨なニュースばかりが飛び込んでくる、暴力と破壊に満ちた世界。
マスコミは不安を煽り、消費を煽り、わたしたちは知らない間に自分の力を奪われていく。
心を何に向けるか。
人は、出したものを受けとる。
エネルギーは、意識を向けた先に流れる。
そんなこと、つらつら考えてます。
無自覚だから、無意識だから、人を傷つけても許されるわけじゃない。
誰かに害をなしても許されるわけじゃない。
詩を読むと、外にばかり向けていた意識が、内に戻ってくる。
ギンギンに目を見開き、神経を尖らせ、負けないように。損しないように。乗り遅れないように。気を抜いたらいつ食い潰されるかもしれない世界から切り離され、守られた世界に抱かれる感じ。
いい詩は、いい歌は、いい絵は、
ほんとうに時を超えるなぁ。