深呼吸図書館

悩めるあなたのための1冊アドバイザー“なついちご”が、今のあなたの気分にぴったりの本紹介します。

黄金の魚

 

クレーの絵本

クレーの絵本

 

 


「黄金の魚」 

谷川俊太郎 

 

おおきなさかなはおおきなくちで
ちゅうくらいのさかなをたべ
ちゅうくらいのさかなは
ちいさなさかなをたべ
ちいさなさかなは
もっとちいさな
さかなをたべ
いのちはいのちをいけにえとして
ひかりかがやく
しあわせはふしあわせをやしないとして
はなひらく
どんなよろこびのふかいうみにも
ひとつぶのなみだが
とけていないということはない

 

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谷川俊太郎さんの詩のなかで、一番好きかもしれない詩。

2日ほど前から頭に浮かんでくる。

 

どんなよろこびのふかいうみにも

ひとつぶのなみだが

とけていないということはない

 

のところで毎回グッときます。

 

悲惨なニュースばかりが飛び込んでくる、暴力と破壊に満ちた世界。

マスコミは不安を煽り、消費を煽り、わたしたちは知らない間に自分の力を奪われていく。

 

心を何に向けるか。

人は、出したものを受けとる。

エネルギーは、意識を向けた先に流れる。

 

そんなこと、つらつら考えてます。

 

無自覚だから、無意識だから、人を傷つけても許されるわけじゃない。

誰かに害をなしても許されるわけじゃない。

 

詩を読むと、外にばかり向けていた意識が、内に戻ってくる。

 

ギンギンに目を見開き、神経を尖らせ、負けないように。損しないように。乗り遅れないように。気を抜いたらいつ食い潰されるかもしれない世界から切り離され、守られた世界に抱かれる感じ。

 

 

いい詩は、いい歌は、いい絵は、

ほんとうに時を超えるなぁ。


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