白神山地を旅していた時期、ちょうどオリオン座流星群の極大日と言われる日だった。
一番たくさん流れ星が見える日。
なので、夜中に着れるだけの衣服を着込んで雪だるまみたくなって、泊まっていたコテージのそばにある広い芝生に寝転がって星を眺めた。
2時間弱くらいかな。
その間に見えた流れ星は5つくらい。
ちょうどお月さまが十三夜というとても明るい月だったので、なかなか流星群が見えづらい空ではあった。
でも、カシオペアも、オリオンも、北斗七星も。全部肉眼で見えた。
星が流れていない間も、芝生に寝転がって夜空を見上げていたら、ハラハラと涙が自然に流れて止まらなかった。
理由なんてない。
ただただこぼれ落ちる涙。
幸せだなー。
よくここまで生きてきたなー。
ありがたいなー。
いろんな想い。
そして思ったんだよね。
この時間も、こんなに素晴らしい星空も、0円なんだな。って。
わたしも宇宙の一部なんだなぁ。って。
森を歩くのもそう。
入山料もとられない。
ガイドさんを頼めばお金はかかるけど、あんなにキレイな森を歩いて、浄化されて、0円なんだ。
それこそが、神様のつくった世界。
完璧に循環する、調和のとれた世界。
そのことに気づいたときに、
所有も消費ももうやめたいと思った。
最低限でいい。
それより、心を清めて、愛をもって、ズルしないで真摯に生きたいと思った。
物質的にも精神的にもゴミを残さずにシンプルに生きたいと思った。
たった数十年の人生を、せこせこ自分の小さな利益を守るためだけにズルして生きたくない。
自分の心に無理なく、嘘なく、楽しんで軽やかに生きるにはどうすればいいのか。
自分の喜びと、人の喜びをつなげて生きていくあり方を、一生かけて追求したいと思った。
その意味でも、わたしはセラピストという仕事に感謝している。
なにもかも無駄に思えた、あまりに失敗だらけのこれまでの人生が、無駄じゃなかったのかも?繋がってきたのかも?
と思える瞬間が、少なからずある。
こんなところで役に立った!みたいな驚きは、単純にうれしい。
壁にぶつかってよろめきながらだけれども、わたしの心の中にいつも、思い出せば浮かぶ流れ星の夜。
神様は、ちゃんと絶妙なタイミングで、救いを用意してくれている。