数日前から、この本のことが気になっている。
初めて読んだのは発売と同時だから、もう4年ほど前だ。
今年のノーベル物理学賞を受賞された
東京大学宇宙線研究所所長の梶田隆章さんが恩師として語られたうちの一人。
それが、この本の著者である「戸塚洋二」さんです。
- 作者: 戸塚洋二,立花隆
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/06/10
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログを見る
わたしは、理数系はからきしだめ。
だけどこの本で戸塚さんを知っていたから、梶田さんが受賞後の会見で戸塚さんのお名前を出されたときに、おいおい泣いてしまった。
梶田さんについてわかりやすく説明しているサイト
(適当に探したからもっとわかりやすいサイトもいっぱいのはずですが)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/228875.html
著者である戸塚洋二さんは、日本が生んだ天才物理学者です。
戸塚さんは2008年に大腸がんで亡くなられています。
そのときに書かれていた膨大な量のブログを編集してよみやすくまとめたのが、
日本が誇る「知の巨人」である立花隆さん。人文から科学、死後の世界についてまで、幅広い分野の評論をされてますね。
文中で立花さん曰く、2002年からずっと戸塚さんはその分野の世界では
「ノーベル賞に最も近い男」
と言われていたそうです。
さらには、
「いつとってもおかしくない」
「もらって当然の人」
「ノーベル賞委員会はもう何年も前から戸塚さんにノーベル賞をあげて当然、と思って いたのに戸塚さんの急死であげられなかったことのショックと追悼の思いが、その後の 日本人の連続受賞につながった」
とまで言わしめるほどの人物。
すごいですよね??
でもわれわれ一般人にはそもそも何がすごいのかもわからないよね(笑)
そもそも「ニュートリノ」って、
「カミオカンデ」って何??
簡単に言うと、ニュートリノは
☆ 素粒子(原子を構成する最小単位の粒子)
☆ 宇宙で最も豊富な物質
☆ ほかの物質と一切関係しないし、なんでもすり抜けちゃう
☆ とにかく小さくて微弱、質量もほとんどゼロ
☆ なのでいかなる観測器や検出器をもってしても検出できない
→本当に存在するかどうかさえ調べようがない不思議な存在、それがニュートリノ
ニュートリノを人類史上初めて「目に見える形で検出できるようにした検出器」
のこと。
戸塚さんは、その発見を中心的に主導した人です。
スーパーカミオカンデで挙げられた大業績
「ニュートリノに質量あり」
の発見に対するノーベル賞は、近い将来必ず与えられるに違いない。
と物理学者は誰もが思っている。
と、2011年に発売された「がんと闘った科学者の記録」の中で立花さんは断言されている。
それを今回かなえたのが、戸塚さんのお弟子さんである「梶田さん」なのです。
戸塚さんの奥さまが出されたお祝いの声明もテレビで流されてましたね。
関係者の方にはどれだけうれしい、悲願のノーベル賞だったのか。
ノーベル賞って、与えられるのは一人の名前でも、そこに至るまでには膨大な人数の人たちが関わって、協力していて、たぶん関わった人たちにとっては「みんなにもらえたご褒美」みたいにうれしいんじゃないかな。
なんて、ただの一般人の妄想ですけど。
会見の中で梶田さんが終始謙虚にふるまわれていたのがとても印象的でした。
さて、知ったかぶり付け焼刃文科系のわたしのしどろもどろな説明はこのくらいにして、そろそろ本の中味に入りましょう。
・・・がんと闘った科学者の記録 2へつづく
* ニュートリノについてまだ気になる人は、とてもわかりやすく説明しているサイトを見つけたので以下に転載させていただきます。
ニュートリノの質量発見がノーベル賞となった理由は?宇宙の謎の解明につながる?わかりやすくまとめてみた
ニュートリノとは?
そもそもニュートリノとは何かといいますと、簡単に言うと素粒子の一つです。
素粒子って何?と思うかもしれませんが、これは原子の中の原子核の中の陽子、中性子を構成している最小単位の粒子です。
原子よりも小さいという時点で想像はつくかと思いますが、それはもう信じられないほど小さく、もうこれ以上小さくすることは出来ないほど小さな小さな物質のことを素粒子というのです。
その質量を発見するというんですからもうこれだけでもノーベル賞受賞するのが納得なほどです^^;
ニュートリノはこの素粒子の一つという話をしましたが、具体的にどのような物質なのかといいますと、宇宙で最も豊富な物質で身の回りを光速で飛び交っており、人間の体を1秒間に約1兆個も突き抜けている物質なのです。
しかし、ニュートリノは他の物質と反応しないので、人間がそれを感じることはありません。
あらゆる物質を突き抜けてしまうニュートリノは重さを測定するどころか観測することすら難しく、2002年に小柴教授が観測に成功するまでは理論上の存在でした。ちなみに小柴教授も「ニュートリノの観測に成功した」ことでノーベル賞を受賞しています。