こんばんは。
晩夏ですね。
お盆を過ぎて、風がやっぱり秋の風になってきたのを感じます。
今日は湿気も少なくてなんだか体がほっとするのを感じました。
この季節、サルスベリの薄ピンクが本当にきれいで、道端でサルスベリに出会う度に、
足を止めて「ほー」っとうっとり見上げてしまいます。
花のフリルみたいなはかない形も色も、ふうわり散る感じも、本当に大好き。
意識せずにいままでもなんとなく好きな花だったけど、なんだか年を追うごとに好きになっていく花です。
ちなみにサルスベリの語源は、木登りが得意なサルでもつるっと滑ってしまうほど幹がすべすべなことからきている、と何かの本で読みました。
さて、そんなサルスベリが登場するのが、今日の一冊です。
梨木果歩 「家守綺譚」
梨木果歩さん、もう中学生くらいからの大ファンなのですが、この人ほんとに天才だと思う。
この人と同じ時代に生まれて、その作品が読めることを心から幸せだと感じられる作家さんの一人です。
舞台は約100年前の日本。
物書きを志す青年「綿貫征四郎」が、学生時代の友人の実家である広い庭付き一軒家に越してきたことで始まる、植物を主役とした不思議な出来事を読み切り形式でつづっています。
出てくるのは、河童や小鬼、亡くなった友人の幽霊?や、竜にマリア様。
めくるめく不思議な世界が、とても落ち着いた文章で、ちょっとおかしみを交えながら描かれているので、飽きずにさらーっと読めてしまう。
四季の植物が余すところなく登場しているので、どの季節に読んでもしっくりきておすすめです。そしてこの物語の一番最初に登場する植物が、サルスベリの木なのです。
梨木果歩さんの見せてくれる、日本とどこか西洋の混じったエキゾチックな世界観は、
一度味わったら癖になってもう簡単には抜け出せない。
少し涼しくなってきた秋に、緑の多い公園のベンチで、金木犀の香りを利きながら読んだりしたら、最高に豊かな時間を過ごせるのではないでしょうか。
よろしければぜひお試しあれ。