タイトルからして決意と情熱に満ちたあっぱれな本。
タイトル通り、ミドリムシは地球を救う可能性を大いに秘めた生き物である。
しかし、これまで大量培養がほとんど不可能と言われるほどに困難だったミドリムシの大量培養を、情熱と使命感と執念そして行動力で成功させたベンチャー企業の熱き挑戦を描いたのがこの本の内容となっております。
株式会社ユーグレナとミドリムシのことは、数年前にある人のブログで読んで知ってひそかに応援していた。今回たまたま図書館でこの本を見つけたので、うまく感想書ける自信はないけど書いてみます。
僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。――東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦
- 作者: 出雲充
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2012/12/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 44回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
株式会社ユーグレナという会社の社長さんが書いた本。
この会社なにをしているのかというと・・・・・・
世界で初めて「ミドリムシ」の屋外大量培養に成功した会社なのです。
そのミドリムシを食品や化粧品として事業化し、今後は飼料や燃料などにおいても数多くの分野で事業化を目指しているベンチャー企業=ユーグレナ。ちなみにユーグレナとは、ミドリムシの学術名です。
ってか、ミドリムシってなに??
と、だいたいの人はまずそこから頭がはてなですよね。
このミドリムシオタクの社長さんの熱き説明から抜粋すると。
ミドリムシとは・・・・
◎ 植物と動物の間の生き物で、藻の一種である
◎ 植物と動物の両方の栄養素を作ることができる。その数なんと59種類。
→CO²削減の救世主となりうる
→ミドリムシが光合成によって作り出し、体内に蓄えた油を石油と同じように精製すれば、ロケットやジェット機の燃料として使えるバイオ燃料が得られる。
◎ 食糧危機が来ても栄養素豊富な食料として利用できる
つまりミドリムシは、食料、栄養、地球温暖化、エネルギー問題を解決できる!!
文中ではミドリムシは「ドラゴンボール」に出てくる「仙豆」に相当するパワーを持つ食材として紹介される。仙豆とは、1粒食べればそれで10日間は何も食べずに飢えをしのげ、どんなに体が傷ついても、一瞬で完璧に回復するという魔法の食べ物のこと。
出雲氏は、ミドリムシと運命の出会いを果たす前からずっと、現実世界にも「仙豆」がないかと常に探し求めていた。というのだから驚きだ。
そしてミドリムシと出会い、自分の天命を知ったとまで宣言する。
それ即ち「ミドリムシが世界を救うことを手助けすること」。
主役はあくまでミドリムシ。自分はその手助けをすることこそが人生の目標だと心に誓う。このとき社長弱冠21歳。
すごすぎます。
なんていうか、この本を読んでて一番感じるのは、やっぱり純粋な情熱をもった人にはそれを助けるだけの大きな出会いが用意されているんだな。ということ。
「個人の利益」なんかじゃない「社会全体・人類全体をよくしたい!」という心の底からの想いが、まわりの人を動かしていく過程に胸が熱くなります。
そして、どんなすごい、大きな会社の経営者も、みんな最初は誰からも相手にされない悔しさ、失敗や挫折を積み重ねてきたのだ。ということがわかる。
凡人だったら、とっくにあきらめてしまうようなところで、あきらめない。
事実、社会から全く認知されていないミドリムシを広めるために、営業チームは日々断られても断られても、日本全国ありとあらゆる企業に片っ端から営業をかけ、それでも相手にされない。でもダメならほかの人をあたるのみ。と覚悟を決めて行動し続けた彼らには本当に尊敬の念しかない。
その努力の最中でも経営危機は迫っており、そんなギリギリの状況の中で最初に資金援助の手を差し伸べたのが、伊藤忠商事だという。
伊藤忠が出資を決めたことで会社を取り巻く状況は劇的に変わっていく。
しかしここへ到達するまでに全国を営業で回り始めてから2年以上の歳月を費やしたというのだから、その執念はすごい。
「最初にリスクをとる」というのはそれほどまでに難しく恐ろしいことなのですね。
出雲氏が感謝してもしきれないと再三述べておられる、最初にリスクをとってくれた企業さんはこちら➡ 伊藤忠商事。JX日鉱日石エネルギー。全日空。日立プラントテクノロジー。清水建設。
これらの経験から出雲さんは、何かを成し遂げたいのならばとにかく(p175)
「やれ!」
「人に会え!」
「自分の思いを伝えろ!」
とおっしゃている。
相手に認められず、ふてくされる暇があるなら、四の五の言わずに、別の人を探して、とにかく一人でも多くの人に会う。またダメだったらすぐに次の人にアポイントをとる。そうして、会って会って会いまくっていれば、そのうち必ず聞いてくれる人が出てくる。
p176
努力を言い訳にしてはいけない。
そして努力しているのにうまくいかなかったら。それはつまり、「もっと努力しろ」ということなのだ。
うーん。厳しいですね。
でも経験からくる言葉は重たくて強い。
今回の感想はなんだか難しくてうまくまとめられなかったわぁ(>_<)
でもどうしてもミドリムシについて一人でも多く知ってほしくてがんばって書きました。
いつか近い未来に必ず、ミドリムシから抽出した燃料でジェット機が飛ぶ日が来るよ。
出雲社長、そしてユーグレナのみなさん
「イケてるミドリムシで、早く地球を救ってくれ」