わたしにとってそれは、旅に出たとき訪れる。
飛行機が飛び立つ瞬間。
「ああ。こうしてまた旅に出られた」
「わたしはなんて幸せなんだろう」
と、感極まる。
この旅がどんなにツイてないものに終わったとしても、今こうして旅立てたことが
もう最高に幸せだと思うのだ。
20代最後の年に、北欧を一人で旅した。
そのときに、今ここで死ねたら本望だ。
ここで死んでも、もう人生になんの悔いもない。
と思った瞬間があった。
フィンランドで一番高い建物であるホテルの最上階のバーで一杯飲んで、街を一望し、
下界に降りてアカデミア書店の前を歩いているそのとき、それはやってきた。
「ああ、もうわたし、今ここで死んだら最高に幸せだ」と腹の底から思ってしまった。
「なににも縛られていない。ただただ自由で幸せな気持ちで今死ねたらなんの悔いもない」
最近自分にとってのキーワードを探してるけど、
「自由」
「旅」
「本」
「食」
「自然」
は外せない。
一生旅して暮らしたい。
その場所その場所で稼いでいけるような技術を身に付けてさ。
リュック一つで旅して回れるような身軽さで、何がなくとも「なんとかなるさ」と
思える鷹揚さを身に付けて。スナフキンみたいにね。