深呼吸図書館

悩めるあなたのための1冊アドバイザー“なついちご”が、今のあなたの気分にぴったりの本紹介します。

手島静子「104歳になって、わかったこと。」①

 

104歳になって、わかったこと。

104歳になって、わかったこと。

 

 

 

ワイ島コナに、日系2世として生まれ、食堂を営むおばあちゃんのお話。

 

104歳でもお店に出ているというから驚きだ。

2013年に106歳で亡くなったそうです。

本は2011年に発売されている。

 

1907年に生まれ、2013年まで100年以上。

激動の世界を見続けるって、どういう気持ちなんだろう。

生き証人、って、まさにこの方のような人のことを言うんだろうな。

図書館でなんとなく目に留まって借りた本。

文字数少ないし、読み易そうだったから借りた。

 

とてもまねのできないすばらしい人生の歩き方。

人の一生って、つくづくお金や名誉や肩書では計れないものなのだな。と思う。

お会いしたことがないのに、手島おばあちゃんがどれだけ多くの人から愛されているかが、本の中からびんびん伝わってくる。

人に心を尽くし、ただただ一生懸命に働き、尽くした人々から年齢や国籍を問わずに愛された人間の一生って、こんなにも偉大で貴いものなのか。

彼女は有名になりたいとか、露ほども考えていなかっただろう。

でもたぶん、まわりがほおっておかない。

 

好きだった箇所を引用します。

 

 p32

 すべてをひっくるめて、自分の人生が好き。

 

 ハワイが大好きです。

 ここはプレッシャーがあまりなくて、いつでもリラックスしていられるでしょ。

 

 ハワイでも特にこの辺り(コナのホナロ村)は田舎だから、となり近所とっても仲がいいの。昔は、みんな知り合い、家族みたいなものでした。

 

 出逢った人、起きたこと、人生のいろんな出来事や場面を覚えています。そして、そういったすべてをわたしは好きです。

 

 いろんなことがありました。大変なことも多かったし、つらいこともたくさんありました。でも、そういったことすべてをひっくるめて、わたしは自分の人生が好き。

 

 I think I like my life.

 

 わたしは、わたしの人生をけっこう気に入っています。

 

 p50

 みんな砂浜で横になって、見上げれば満天の星空。

 

 ハワイ諸島でも、この辺り、ハワイ島のコナの辺りは、田舎です。昔は、もっとすごい田舎でした。

 田舎だから、みんな仲良しで、地域全体がひとつの大きな家族のようでした。都会だと、競争とか、いろいろあるんでしょうけれど、わたしが育ったこの辺りは、競争とは無縁。みんな助け合って生活していました。そういうところは、田舎のよいところ。

 

 野菜を育てて収穫すると、必ずみんなで分け合いました。コーヒー豆ができたら、みんなにあげました。

 

 幼いころ、知り合いの日系人の家に遊びに行くと、わたしも家族の一員でした。ひとつの布団で寝たり、同じ部屋に隣同士で寝たり。みんな気にしませんでした。

 今ごろはもう、そんなことはできないでしょう。

 

 昔、いくつもの家族で一緒に、お休みをとって海辺へ行きました。ファミリー・ピクニック。夜になると、浜辺の樹の下に、みんなで一緒に寝たものです。布団があったかどうか、覚えていないけど・・・。

 みんなで一緒に砂浜の上に横になって、見上げれば、満天の星。

 

 p52

 海辺の小屋で、夏休み

 

 昔、海辺に住んでいたハワイ先住民のところに、夏になると遊びに行っていました。

 小さな、夏休みでした。

 先住民たちは、海のすぐそばに、茅葺き屋根家を手作りして、住んでいました。掘っ立て小屋のようなものです。そういう小屋が、あのころ、海辺にはあちこちたくさんあって、誰も使わなくなった小屋もあったんです。

 家族でロバに乗って海辺へ行き、空いている小屋を使いました。わたしたちが海で遊んで、小屋に泊まっても、先住民たちは何も言いませんでした。彼らはいつも笑顔。のんびりしていて、いい人たちばかり。フレンドリーで、オープン。

 そのかわり、彼らがコナの方へやって来たら、今度は彼らが好きなだけわたしの家に泊まれるの。こっちも泊まらせてもらっているから、あっちも自由に泊まれるの。

 そんな時代でした。