もう人生で何回読んだかわからない本。
この前ひさしぶりに読み返した。
よい。
言葉や理屈がいらないよさ。
わたしの中では、evergreenという言葉が本当にぴったりくる。
もう二度と戻ることのない懐かしい日々。
決して戻れないけど、そんなにいいとも思ってなかったけど、思い返すと宝物のように輝く日々が確かにあって、この本はタイムマシーンのように、その日々に連れて行ってくれる。せつなくて、幼くて、だけどかけがえのない日常の、ある海辺の夏の物語。
子供でいられた最後の夏の風景。
ばななさんの本の中で、海が出てくる物語は特に秀逸な気がする。
あの独特の気配、空気感。切ないような、自由なような、なんともいえない気持ち。
ページをめくる度、その微妙な夕暮れの光が、風が、波の音が、すべて五感として立ち上るようだ。うまい!
そして、つぐみが最高だ。
美人で病弱で、乱暴で意地悪!
生きてるー!って感じがする。
命が爆発してる感じ。
大好きな本です。
夏を感じさせてくれる、潮風の匂いのする一冊。