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深呼吸図書館

悩めるあなたのための1冊アドバイザー“なついちご”が、今のあなたの気分にぴったりの本紹介します。

死にかけた心に火を灯せ!!~炎路を行く者~

キターーーーーー!!!

ついに来たわよ、待ちに待っていたこの日が!!!

テンション上がるぅ~(≧▽≦)

上橋菜穂子さんの守り人シリーズ最新作「炎路を行く者」の文庫版がついに発売されました!

 

炎路を行く者: 守り人作品集 (新潮文庫)

炎路を行く者: 守り人作品集 (新潮文庫)

 

 

待ってたの。文庫になるのをこころから待ってた。わたし、守り人シリーズの中でヒュウゴが一番好きかもしんない。とにかくこのお話が好きで好きで大好きで、図書館で何度も借り、借りずとも、どうしても好きなページやセリフだけ読むために行って、立ち読みして家に帰ったこともある。この偕成社の単行本のほうね。

炎路を行く者 ?守り人作品集? (偕成社ワンダーランド)

炎路を行く者 ?守り人作品集? (偕成社ワンダーランド)

 

 

たまらなく、わたしの心のゆがんだ部分に触れてくる。

自分がどうでもいいやつに思えて、生きてるのが嫌になっちゃったとき。自分なんてこの世にいる意味ない。って思えて泣きたいとき。がんばるのに疲れてあきらめちゃいたいとき。何度も勇気をもらいに行く。本の中に。そしてその度、震えるほどの感動を味わう。背筋にビビーっと電流が走ったみたく何かが這い上がっていく。

そして、あきらめるな!ヒュウゴみたいに。と思う。

そんな本がやっとやっと手元に来てくれてほんとうにうれしい。

しかもこのタイミングで。

 

ヒュウゴは「ヨゴ皇国」の帝の近衛兵である父を持つ武人階級の少年。

タルシュ帝国に故国を滅ぼされ、家族や親せき、友人を皆殺しにされてしまう。

平民として酒場の下働きという最下層の仕事をしながらまったく新しい人生を歩まねばならなくなった彼のいらだちと葛藤を描いたのがこのお話。

守り人シリーズの本編を読んでいる人ならだれでも知っている通り、彼は様々な葛藤を経て、タルシュ帝国の密偵となる。

本編を読んだ人に一言で説明するとしたら、「自国を滅ぼされ、家族を皆殺しにされたヒュウゴがなぜタルシュ帝国の密偵になったのか」が主題の守り人シリーズ番外編。といったところでしょうか。

 

わたしは、この物語の中で、初めて酒屋の下働きをして得たお金を、自分を助けてくれたリュアンという少女とそのお父さんのためにヒュウゴがおいしい料理を作ってもらって届けるシーンが大好き。泣ける。この貧しくとも優しい親子がヒュウゴの人生を大きく変えていく。たった一人のやさしさは、こんなふうに大きく世界を変えていくのか。と思って泣けてくる。

 

リュアンのお父さんのヨアルに、荒んだ不良生活をするようになってしまったヒュウゴが叱られるシーンもとてもいい。親でもないのに、本気で叱ってくれる人。あたたかいと思う。叱られたヒュウゴが自分と向き合って、荒んですべてをあきらめかけていた心が少しずつ変化していく様子を描いた226ページから230ページの描写が圧巻だ。上橋さんはほんとに、「降りてくる系」の作家さんだなあ、と思う。息をするのを忘れるくらい、いっきに読ませる。

 

229ページのヒュウゴの独白をわたしは何度でも読み返し、その度消えそうな自分の心の中の火がもう一度燃え上がるのを確かに感じる。

以下引用

 

(おれは・・・)

自分に忠誠を誓えるだろうか。―――わが身は、忠誠に耐えうるほどのものだろうか。

武人とは、帝のためにわが身を捨てる者だと教わって生きてきた。だがもう、そんな生き方はできない。

 

帝にすべてを預け、生きるも死ぬも、帝に責任を負わせて、自分ではなにも考えぬ、そんな生き方では、だれも救えはしないのだ。

おのれの足で立たねば、見えぬ景色がある。

             ―――引用終了

 

外の世界、人からの評価、そんなもので頭がいっぱいになったわたしに、

外で起こっていることがどうであろうと、全ての言い訳を取っ払って、お前はどうするんだ?!と厳しく、あたたかく問いかけてくる。それに対してお前は自分の命をどう使うんだ??と突きつけられる気がする。

 

そして、人を救うのは決して、「言葉」や「肩書」ではなく、「態度」であり、「あり方」だと教えてくれる。わたしたちは、生まれてきた以上、決して自分であることをあきらめてはいけないし、誰かのためになりたいと努力することをやめてはいけないんだと、この物語は教えてくれる。

ぜひ、読んでください。素晴らしい本です。