大好きな本です。
ばなな好きの間でもかなり人気なシリーズだと思います。
シリーズ全部で4冊あるんだけど、わたしはやっぱり一巻が特に好き。
久々に読みたくて実家の本棚から持ってきました。
何回読んでもやっぱりいい!
引っ越しのときに完結編の4巻を売ってしまったことを今でもほんとに後悔している。
文庫で買えばいいや、と思ってだけど。あのオフホワイトの装丁好きだったのになぁ。
主人公は十代後半の女の子。雫石。という変わった名前をもつ。
山育ち、父も母もなく家族はおばあちゃん一人というおとぎ話な感じの設定。
人里離れた山奥で、薬草茶を作って生計を立てているおばあちゃんの手伝いをしながら暮らしていたが、山への開発の手が伸びてきたのをきっかけとして山を降りて一人暮らしを始めます。
そして、そこから、運命が動き出す。
「楓」という名前の町で有名な目の見えないイケメン占い師のアシスタントになるのね。楓がまたイイやつでね。楓の恋人の片岡さんも屈折していて人間的魅力にあふれている。この本の一番の魅力は、登場人物がみんなとにかく個性的で魅力的なことだと思う。
この前読んでたネイティブアメリカンのベアハートさんと、雫石のおばあちゃんの言っていることがかぶりすぎていておもしろい。
「自分がやってあげていると思ったらおしまい。
自分は、大いなるものとほかの人をただつないでるだけ」というセリフ。
本文の中に、胸に響く言葉がいくつも出てきて、そのたび目を閉じて心にじっくり染み込ませたくなる、キラキラした物語です。
好きなセリフを書き出します。
p14
少し前は失ったものを嘆いてばかりいたが、今となってはなにも失ってなんかいなかったことがなんとなくわかる。
自分の体と心と魂、それを持ってさえいれば、欠けるものはいつでもなにひとつなくて、どこにいようと同じ分量の何かがちゃんと目の前にあるようなしくみになっているのだ。
山を壊されて、薬草茶が作れなくなり、怒りと絶望を感じている雫石に向かってあばあちゃんがいうセリフも力強くて大好き。勇気をもらえる。
p33
ずっと変わらない生活なんて全然面白くないよ。
p34
人のいるところには必ず最低のものと同時に最高のものもあるの。憎むことにエネルギーを無駄使いしてはいけない。最高のものを探し続けなさい。流れに身をまかせて、謙虚でいなさい。
文字も大きめで、ページ数もそんなに多くないのでするりと読めます。
ぜひ、一読あれ。