台風に振り回される変な天気が続きますね~。
今日は、この一冊。
結構好きなの。この本。
表紙もポップでかわいい。
昔、アメリカの超有名なイラストレーター「ノーマン・ロックウェル」にはまってた時期があるんだけど、それと似たテイストを感じる。
すんごい落ち込んでるってわけじゃないんだけど、なんとな~く弱ってるとき、気持ちを切り替えたいときに読みたくなる本。
短編集だから無理なく読めるし、13篇収録されているんだけど、意外と全部の話が好きなんだよね。わたし。
心と体にまつわる13のお話。
ばななさんの風景や空間の描写が本当にうまくて、ちょっと非日常な気持ちを味わえるのも楽しい。
とくに好きなのが「黒いあげは」と「おやじの味」。
黒いあげはは、失恋した友達の暇つぶしに付き合ってドライブで海にやってきた主人公が、むかし偶然家族で来たことのある海だったと思い出し、そこから中学生時代の両親の離婚騒動を回想する・・・というお話。
その回想シーンで出てくるバーベキューのシーンがイカレてて自由で好き。
p60
つらさや寂しさを吹き払おうとする時、そんなふうにちょっとしたごほうびみたいに
自由がうまれる。
おやじの味は、やっぱり失恋して(なんだろ、失恋した人の話が好きなのかな、笑)
傷ついた女子が主人公で、気分転換に母と別居中の父の山小屋にしばらく暮らして自分を取り戻していくというストーリー。
おやじの味、っていうのは、バターをたっぷり入れたオムレツのことです。
これを読んでいると、落ち込んだとき、自然の中で、単純労働で体を動かすのって本当に大事なんだな~。と感じる。最初落ち込んでた主人公は、お父さんが朝ごはんに焼くまずいトーストが食べたくなければ早起きしなきゃいけないし、元気があれば2キロ離れたパン屋まで歩いて焼きたてのパンを買いに行ったりだんだん忙しくなってくる。
そして、「自分は体力があり余ってたからよけいなことを考えるひまがあったのだろう」とどん底だった時期を振り返る。
夕方山を下りてスーパーに買い物に行くのが楽しみ!という感覚もなんだか新鮮で、単純な喜びで実にいい。
いろんなことが複雑になりすぎてて、忙しい方が充実してる・・・みたいな強迫観念が、この本を読むといい意味で壊されてちょっとほっとする。
そうだよね、人間もっと単純でいいし、そんなにたくさんのこと成し遂げなくても日々をゆるゆるほっこり幸せな気持ちで暮らせたらそれでいいんだよね。って思わせてくれる。
そう思うことに、とても安心している自分がいる。
p169
久しぶりに食べたオムレツは死ぬほど懐かしい味がして、私は、久しぶりに、生きていることに意味があるような気がして、ビールを飲み過ぎてしまった。だからドラマでも見て寝よう、と思った。生きていることには本当に意味がたくさんあって、星の数ほど、もうおぼえきれないほどの美しいシーンが私の魂を埋めつくしているのだが、生きていることに意味をもたせようとするなんて、そんな貧しくてみにくいことは、もう一生よそう、と思った。
ばななさんの名言は私の中ではけっこうたくさんあるんだけど、このセリフもぐっときて深くてとても好きなシーンの一つ。
がんばるのに疲れちゃった人は読んでみては??
わたしも疲れちゃったよ(笑)
いろいろままならないもんだよねー(-ω-)