桜の季節になる度毎年読んでいる、わたしにとって大好きで特別な一冊。
桜が全部散っちゃう前に、感想を書いておきたいな。と思ったので今日急いで書こうと思います。
初めて読んだのは、中学生だか高校生だかの時。
ステンドグラスのきれいな大好きだった図書館で見つけた本。
タイトルがすでに素敵で、さらに内容もすごく好きな感じでハートを鷲掴みされた。
自分でもびっくりするくらいにはまってしまって、迷わずその興奮冷めやらぬ状態のままファンレターを書いた。
そしたらなんと、返事が来たのだ!!
作者の方ご本人から。
しかも、本を添えて・・・。
びっくりした。
人生であんなにうれしかったことってそうそうない。
出版社を後で調べたら、自費出版の出版社で、どうりで探しても本屋さんにはないわけね。手紙に手に入らなくて、残念。みたいなことを書いたのだろうか。
とにかく、サインとメッセージ入りの本が今も私の手元に残っている。
一生の宝物。もう15年前の出来事です。
物語は高校生の男女3人を中心に描かれる純情青春小説。って感じかな。
ライトノベル、的な読みやすい本です。
主人公は高校2年生の女の子。亜莉沙。
アメリカ人のお母さんとのハーフで誰もが振り向く美少女。
という設定なんだけど、とにかく気が強くて気取ってなくてはっきりとした性格の優しい子。
亜莉沙の彼氏で同級生の慧。
この子が本当にかっこいいのよ。イケてるの!ただ外見がかっこいいっていうんじゃなくて、中味も最高にイケてる男子。
THE 少女漫画のヒーローって感じ??しかもとても冷静でクレバーなところがたまらないと思った。ただ明るくてばかだとちょっと興ざめじゃん?
自分の周りにはいない大人で優しい慧に当時のあたいはメロメロでした。
そしてもう一人。
「ある出来事」をきっかけに亜莉沙と知り合い、慧とも意気投合して親友になる、年が一つ上の真樹さん(男)。彼がこの本の重大なテーマを背負った人物です。
昔はワルだったけど、今は改心して穏やかな優しい青年。
高校を「ある理由」でダブっていて、その理由こそが、この物語の軸になるもので、深くて悲しい結末へと向かわせます。
単刀直入に言っちゃうとね、真樹さんは「がん」なの。
それも「末期」のがん。
亜莉沙と慧は、真樹さんのがんが再発してから出会い、そしてそれを知らないままどんどん仲良くなっていきます。
友情とか愛情について考えさせられる本。
幼いなりにとても真剣で純粋な彼らに、ぐだぐだな今の自分の穢れが際立つ際立つ。
今読むと、ちょっとクサくてこっぱずかしいけどね(笑)
「~だわ」って話し言葉をよく亜莉沙が使うんだけど、現実にあんまりそういう人いないよね。「このリンゴ腐っちゃってるわ!」みたいな「わ」は結構使うけど(笑)
この本を読んでいた当時はまさか父がその数年後にがんで亡くなるなんて考えもしなかった。だけど、亡くなった後に、この本読むたび、吐くように泣いた。
死ぬのがわかっている人のそばで過ごす時間の残酷さ、切なさ、つらさ。
どんどん弱っていっても、自分でできることがどれだけ減っていっても、死ぬ瞬間までは生きなきゃいけない。本人はどれだけ苦しいんだろう。
真樹さんのそばに、死ぬまでみっちりついてる二人はとても強くて優しい人間だなぁ。
相手を思う気持ちが強ければ強いほど、相手が死に近づいてく姿を見るのはやりきれないものだ。
「死」を正面から受け止めて穏やかに過ごす真樹さんも尋常ならざる人物だ。
なかなかこんな風には死ねないよ。
3人ともが本当に大人で、精神的にとても自立していて、この年になってもわたしはまだ全然かなわないな。って思う。近づける日が来るのかな。
3人ともほんとにかっこいいんだよね、生き様が。
そして考え方がすごくフェアでフラットなところが子供ながらにいいと思っていた。
みんな美男美女だし、放課後の遊び方とかもなんかおしゃれで、もっさりしたわたしにはまぶしいほどに憧れの詰まった青春の過ごし方なのでした。
文中に出てきたバッハの「ゴールドベルク変奏曲」という音楽がとても印象的で、早速図書館で借りて聞いてみたりしたのもいい思い出です。
この曲は、森絵都の「アーモンド入りチョコレートのワルツ」の1本目のお話にも出てくるね。うろ覚えだけど、バッハが不眠に悩む伯爵だか誰だかに依頼されて作った曲だとか。確か超眠くなる曲だ。
わたしは同じバッハの曲で言ったら「主よ、人の望みの喜びよ」のほうが好き。
なんだかだんだん話が逸れてきてしまったのでそろそろ終わりにしようと思います。
亜莉沙も慧も真樹さんも、生きることに真剣で前向きだ。
わたしも腐ってる場合じゃないな、と思う。
ファイト!!